みなし残業制度という名のサービス残業
みなし残業制度に追い詰められる
多くのシステムエンジニアが辞めたいと思うようになる場合が多いのはなぜかについて考えてみると、残業がひとつのキーワードになることがわかってきます。システムエンジニアの仕事は、基本的に残業が多くなりがちなので、残業代の支払われ方がどのような形態になっているかで、貰える給料にはかなりの差が生じる場合があります。
企業によっては固定残業代として最初から給料に組み込んでいる場合があり、固定残業代で設定されている残業時間を上回って仕事をしたとしても、それ以上の残業代は一切支払わないという「みなし残業」が横行している現実があります。会社としては、残業代は先に支払っているということが大義名分となり、労働者もその理屈をのみ込んで、どれだけ働いても残業時間数に関係なく一定の給与しか貰うことができないという悪循環に陥っています。日本では、リーマンショック以降の不景気が後押しをして、労働者の立場は一気に弱くなってしまいました。給料や条件で仕事を選ぶどころか、働く場があるということだけでもありがたいことという意識が根底にあるので、その状況につけこんで社員に無理な労働をさせてしまうブラック企業が増えてしまいました。
今ではブラック企業が社会問題化しており、求職者もかなり敏感になっている部分ではありますが、ブラック企業もいろいろな手法を使って生き残っているので、この問題はまだまだ解決の糸口が見えていないのも事実です。どんな仕事でも残業があるというのはある程度仕方がないことかもしれませんが、残業代が適正に支払われないのは大きな問題です。
みなし残業のほとんどは違法
固定残業代として、就業規則の中にみなし残業時間や残業代が具体的に示されておらず、漠然と残業代が含まれるということのみが記載されている場合があります。求人票などにはそのように記載されていることが多いですが、契約の段階でも固定残業代についての詳細な記述がない場合には注意が必要です。また、月に決まった時間以上の残業をしたら固定残業代を支払うという方法をとる企業もありますが、本来固定残業代はみなし残業時間に達していてもいなくても全額支払われるものです。また、実際に残業した時間がみなし残業時間以上だったにもかかわらず、追加の分が一切支払われないというケースが少なくありませんが、これも違法なことです。
そして、見落としやすい点としては、残業代の時間あたりの給与が最低賃金を下回っている場合があるということです。全国の最低賃金に1.25をかけると残業代の最低時給単価になりますが、固定残業代の金額を時間で割ってみて、時給が最低基準を下回っていないか確認してみることも大切です。残業代の仕組みについて知らないということが悲劇を生む第一歩になってしまうので、これらのことをしっかりと理解しておくことで自分の身を守ることができます。